水塚(みつか・みずか)

洪水から命を守るための先達の努力の結晶

 水害から人命、家畜、財産、食糧を守るために母屋より高く土盛りした上に納屋や土蔵を建てた塚のことを水塚と呼んでいます。土盛りした側面は、そのままのものや石垣などで表面を覆ったものなどがあり、塚の上には、納屋や土蔵が建っているところや敷地全体が塚になっているところ、何も建っていない土盛りだけのところなどもあり、多種多様です。これは、土地の形状に合わせた建物の配置や土盛りする土の有無、財力が影響するところでもあります。ただ、この地域に残る「水場一寸高(みずばのいっすんだか)」という言葉に象徴されるように少しでも高くするための工夫をして造っていたようです。高く造られた水塚の壁面は、石垣や根茎の太くて堅くよく発達するセキショウのような草を植えて土留めにしていました。また、北西部から吹き下ろすからっかぜを避けるように北西方向に防風林を構えることも、この地域の水塚の特徴のひとつです。

 現在、生井地区で確認されている水塚は40箇所あり、上生井地区に8 箇所、下生井地区に19箇所、白鳥地区に13箇所の水塚が確認されていますが、増築や改築の際に水塚として使用された盛土は整地されることがほとんどで、原形をとどめている水塚は減少傾向にあります。

敷地全体が盛土されている水塚(上生井)
敷地全体が盛土されている水塚(上生井)
盛土の一部が石垣になっている水塚(白鳥)
盛土の一部が石垣になっている水塚(白鳥)
花壇に利用されている水塚の盛土部分(東生井)
花壇に利用されている水塚の盛土部分(東生井)
お稲荷様が祀られている水塚跡(上生井)
お稲荷様が祀られている水塚跡(上生井)